ニッケル亜鉛電池の開発について

 当社は新たな蓄電池として、安全性に優れるとともに、リサイクルが可能で環境負荷の小さいニッケル亜鉛(Ni-Zn)電池に着目し、開発を進めてきました。この度、自動車および産業用途に向けて開発を進め、独自に新たなセパレータ技術や電解液添加剤などを検討し、Ni-Zn電池の課題である寿命性能を改善しました。

 現在、自動車のエンジン始動用やハイブリッドシステムを起動させる補機用、また、産業用途における電動フォークリフトや無人搬送車(AGV)等の電源、UPS(無停電電源装置)等のバックアップ電源として鉛蓄電池が広く用いられています。近年、無線経由通信に代表される車両通信技術の発展から、駐停車中の電力負荷が増加する傾向にあります。また、自動運転においては機能バックアップの観点から、従来よりも高い性能が要求されていくと考えられます。現在、小型・軽量でエネルギー密度の高いリチウムイオン電池は様々な市場で普及拡大していますが、可燃性の有機電解液を使用するため、安全対策が必要になります。

 Ni-Zn電池は従来からニッケル水素電池などで使われてきたニッケル正極と、安価で豊富な資源である亜鉛を用いた亜鉛負極から構成されています。開発した Ni-Zn 電池の始動・補機用途としての性能を評価した結果、低温始動性能は鉛蓄電池と同等を示し、寿命性能は鉛蓄電池の約4倍の性能を示しました。また、産業用途に関しても、鉛蓄電池に対して大電流放電性能が優れ充放電効率が良く、短時間で充電できるといった特性から、電動フォークリフトや無人搬送車(AGV)、小型モビリティなどの移動体電源として、充放電を繰り返すサイクル用途にも適していると考えています。加えて、自動車用・産業用の用途を問わず、電池の小型化・軽量化を図ることも可能です。

 今後は2027年ごろの製品化に向けて、量産に向けた開発、顧客との用途開発、業界団体と協力した電池回収のスキームを検討していきます。 
※詳細はEnergywith Technical Report 第1号をご参照ください。

試作品
12V系-45Ah LN1サイズ